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未払い賃金

未払い賃金について

会社が未払い賃金(残業代・手当等)を
請求されたときの対処法・再発防止策

従業員や退職者から未払い賃金(あるいは残業代)を請求されるのは、よくある労務トラブルのひとつです。
会社として「手当が十分であったこと」「残業をきちんと把握していたこと」を毅然と主張すべきですが、基本的には負け戦になる可能性が高ため、その対応は立証手段を含めて慎重さが求められると言わざるを得ません。

未払い賃金トラブルへの対応の要点を踏まえ、状況別に会社として主張すべき内容・再発防止策を紹介します。

未払い賃金請求にはどう反論すればよいのか

未払い賃金の請求はさまざまな方法(交渉・裁判外紛争解決手続・調停または訴訟)で行われますが、会社として行うべき対処は一貫しています。
どのようなケースでも、社として以下の内容を理路整然と裏付けながら主張することで、司法や第三者機関に有利な判断を下してもらうことができます。

未払い賃金請求への反論内容

  • 使用者として適正に賃金支払いを行っている
  • すでに時効が成立している※

※賃金を支払うべき時期から一定期間が経過している場合

適正な賃金支払いがあった」と主張するときのポイント

適正に賃金支払いを行っていると主張する際は、セットで「書類や映像による改ざん不可能な資料」をどの程度で準備できるかがポイントです。
請求があったときは、まず社内で保管している資料を出来るだけ洗い出し(以下一覧)、本来は請求者が立証責任を負うのですが、本件のような場合は、会社が初動から徹底して立証責任を果たすよう心掛けるべきでしょう。

適正な賃金支払いを立証する手段となる資料

  • タイムカード
  • 業務日報
  • 入退室記録
  • 社内文書
  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • その他、賃金支払い済みであることが分かる書類

時効成立を主張するときのポイント

賃金支払い義務には時効があります(労働基準法11条・115条)。
請求者の一方的な都合で後々になってから請求されたケースでは、本来請求が行われるべき時期(=賃金の締日・支払い日)を立証した上で、時効成立を主張することが出来ます。

賃金支払いの時効

時効の定めがある項目 時効 対象となる請求権
賃金請求権
(労基法第115条)
賃金支払い日から2年 賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの(労基法第11条)
退職手当請求権
(労基法第115条)
賃金支払い日から5年 退職金
(就業規則・労働協約・雇用契約等で、支給基準が明確に定められたもの)

請求者に隙を与えないための
「賃金支払いの基礎知識」

未払い賃金請求者との話し合いでは、責任追求の隙を与えないよう、賃金支払いに関する使用者の基本的義務を理解しておくことも大切です。
ここでいったん、以下3点の基礎知識をおさらいしましょう。

賃金支払いの基礎知識

  • 賃金支払いの5原則
  • 労働時間&割増賃金のルール
  • 使用者の労働時間管理義務

賃金支払いの5原則

使用者には「賃金支払いの5原則」(労働基準法24条)が課せられており、原則が守られていない部分については会社側が不利となる可能性があります。
交渉の際は以下①~⑤の原則を押さえ、会社としてルールを守っていたことを主張するよう心掛けましょう。

1. 通貨払いの原則

使用者が被雇用者に賃金を支払う手段は、通貨(日本政府発行の紙幣または硬貨)を原則とします。

2. 直接払いの原則

使用者が被雇用者に賃金を支払うときは、直接労働者本人に支払わなければなりません。法定代理人(親権者)や弁護士以外の任意代理人への支払いはルール違反です。

3. 全額払いの原則

賃金支払いは、当然ながらその全額を支払わなければならず、源泉徴収と社会保険料以外の控除は原則として認められません。「積立金」「罰金」等の名目で支払いの一部を留保または控除することはルール違反です。

4. 毎月1回以上払いの原則

賃金支払いは、少なくとも毎月1回以上実施されなければなりません。「試用期間」「訓練期間」「休業からの段階的復帰に伴う試し出勤」等を名目に支払わないのはルール違反です。

5. 一定期日払いの原則

賃金支払いは、“毎月〇日”とのように明確な期日を定めて定期的に実施されなければなりません。「何週目の何曜日」という決め方はルール違反です。

以上の原則から逸脱していた場合は、労働者本人との合意書面もしくは労使協定により「事前の了解があった」と証明する必要があります。

労働時間&割増賃金のルール

労働時間は原則として「1日8時間・1週40時間まで」で、これを超える場合には時間外労働協定(36協定)が必須です。交渉の際は、会社として原則を守っていたことを一貫して主張しましょう。
注意したいのは、36協定は時間外労働をしてもらうことであって、割増賃金の支払いが不要になるわけではありません。時間外労働・休日労働・深夜労働の際は、最低でも法定の割増賃金を支払わなければならない点です。割増分は未払い賃金トラブルで問われることの多い問題であり、ルールを熟知しておかなければなりません。

賃金の割増率(労働基準法第37条)

  • 時間外労働:25%
  • 休日労働:35%
  • 深夜労働:(午後10時から午前5時まで):25%

使用者の労働時間管理義務

未払い賃金トラブルで争点化しやすい「残業代」については、義務に基づいて使用者が労働時間をきちんと管理していたことを、一貫して主張しなければなりません。
労働基準法108条・109条および「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)に沿って、使用者の義務を理解しておきましょう。

使用者に課せられた労働時間の管理義務

労働時間(始業~就業)の把握義務
タイムカードや実態調査で、使用者自ら労働時間を確認していること
賃金台帳の作成・更新義務
「労働日数」「労働時間数」「休日労働時間数」「時間外労働時間数」「深夜労働時間数」といった事項を、賃金台帳に記入していること
労働記録の保存義務
労働者名簿・賃金台帳・労働時間の記録に関する書類(タイムカード等)の3年間保存すること
労働時間の適正化を図る義務
労務管理責任者の配置・労使協議組織の組成等により、労働時間を適切に管理上し、その問題点の把握していること

ケース別の未払い賃金トラブルの具体的対処方法

未払い賃金トラブル対応の基本を確認したところで、ここからは請求者の役職・業務内容・在籍状況ごとに「具体的な対処はどうあるべきか」を解説します。

現職の従業員(役職なし)から請求されたケース

現職の従業員から未払い賃金請求があったときは、まず「賃金発生の根拠」を改ざん不可能な資料で提示させるべきです。
ただし、従業員が有力な根拠資料を用意できなかったからといって「必ずしも請求に応じなくてもよい」というわけではありません。
これまでには、従業員自身が書き残したメモ(大阪地裁平成17年10月6日判決)や従業員の家族の証言(東京高裁平成17年12月1日判決)が賃金発生の根拠として取り扱われたケースがあります。

以上のことから、賃金発生の根拠となる立証を従業員側にさせるだけでは、交渉を有利に進められるとは言えません。左記の対処に加え、以下のように「未払い賃金を支払う合理性がないこと」を会社として主張立証していく必要があります。

自発的な残業であったことを立証する

問題の従業員が行った残業や休日出勤を「自発的なもの」かつ「黙示の残業命令がないこと」を立証することは、賃金支払いの合理性がないことを示す第一の方法です(以下判例あり)。
社内文書等を活用して勤務指示を行っていなかったことを証明できれば、会社にとって有利な交渉を進められます。

会社が勝訴した判例
名古屋高裁平成2年5月30日判決(吉田興業事件)
「始業時刻前の現場掃除」「終業後に行った翌日以降でもよい後片付け」等の労働について、自発的な行為で会社の指示に基づくものではないと判断されたケース
大阪地裁平成5年12月24日判決(高島屋工作所事件) 
「昼休憩中の電話番」が自発的なものであったと判断されたケース

会社が残業を許可していなかったことを立証する

「残業or休日出勤が従業員の自発的なものだった」との立証に加え、会社が残業を許可していなかったことを証明できれば、さらに有利に交渉を運ぶことが出来ます(以下判例あり)。
交渉や訴訟対応にあたっては、メールや朝礼記録などを洗い出し、客観的に実際の運用が分かるようにします。

会社が勝訴した判例
東京高裁平成17年3月30日判決(神代学園ミューズ音楽院事件判決)
明確に「残業禁止命令」を朝礼で発し、残務がある場合には役職者に引き継ぐことを会社から指示していたことが認められたケース

固定残業手当を支払っていることを立証する

残業または出勤に会社の命令・容認があったことを争えない場合には、固定残業手当の支払いをもって「賃金支払いの合理性はない」と指摘できます。
ただし、固定残業手当の支払いがあったと法的に認められるのは、以下すべての条件を満たしているケースのみです。

固定残業手当の支払いがあったと認めてもらうための条件
  • 就業規則・雇用契約書等による定めがあること
  • (上記定めのなかで)金額を明示していること
  • 差額の精算について明示していること
  • 公序良俗に反していないこと※

※月80時間を超える長時間残業(いわゆる“過労死ライン”)を前提とすることは、たとえ従業員との合意があったとしても認められません。

加えて注意しなければならないのは、年俸制の基本給に固定残業手当を含めることは原則できない点です(最高裁平成29年7月7日判決)。
会社に「年俸制に残業代を含めていた」という認識があるなら、これを明示している就業規則や雇用契約書で立証しなければなりません。

「管理監督者」としての性質を裏付けする

管理職との賃金支払いトラブルでは、①職務内容が従業員と経営者のどちら寄りであったのか、②そもそも責任に見合う十分な手当てが支払われていたのか、左記の2点が主な争点となります。
会社としては、①・②の各争点について、以下のように立証を添えながら主張していくのが適切な対応です。

「管理監督者」としての性質を裏付けする

未払い賃金の請求者が労働基準法の「管理監督者」(第41条2号)であるとされる場合、残業代や割増賃金を支払う合理性はないと主張できます。
管理監督者は経営者とある程度同一視できる立場であることから、労働時間のルールが適用されないからです。

ここで注意したいのは、管理者と管理監督者はイコールではないことです。
労基法に基づく管理監督者の実態(以下参照)があることは、会社が積極的に立証しなければなりません。

管理監督者の条件
  • 自己の労働時間について裁量権がある
  • 職務内容・権限・地位等の諸条件において、経営者と一体的な立場にある
  • その地位と責任にふさわしい賃金(諸手当含む)が与えられている

管理監督者として認められず会社が敗訴したケースでは、飲食店チェーンの雇われ店長が「名ばかり管理職」として社会問題化した事件があります(東京地裁平成20年1月28日判決/日本マクドナルド事件)。

その一方で、会社側の主張が認められて未払い賃金の支払い義務が否定されたケースも豊富に存在します。

「管理監督者」として会社の主張が認められた例
人材募集を行っていた人事課長
大阪地裁昭和62年3月31日判決(徳洲会事件)
美容院の総店長・取締役部長
東京高裁平成20年11月11日判決・東京地裁平成24年5月16日判決
庶務・経理・人事の全体を任されていた総務局次長
東京地裁昭和63年4月27日判決

地位と責任にふさわしい賃金を支払っていたことを証明する

管理監督者かどうかを争う際は、地位と責任にふさわしい賃金の支払いを優先的に立証すべきです。
請求額支払いの合理性がないことを「既払いである」という視点からも主張することで、会社にとって有利な話し合いを進められます。

会社が勝訴した判例
大阪地裁昭和62年3月31日判決(徳洲会事件)
地位と責任にふさわしい複数の手当(特別調整手当等)の支給があったことが、会社側に有利な判決を下す決め手となっています。
福岡地裁平成19年4月26日判決・大阪地裁平成20年2月8日判決
他の従業員に比べて高額な賃金が支払われていたことが、管理監督者性を認める理由のひとつとなりました。

これらの勝訴例の一方で「役職手当の支給とは別に残業手当を支給すべき」とされた判例もあります(東京地裁平成14年3月28日)。
実際に対応を進めていくなかでは、請求者の主張の根拠を見極めて柔軟に判断するのが最良策です。

外回り営業職・在宅勤務職から請求されたケース

外回り営業職・在宅勤務職との賃金支払いトラブルでは、多くの場合「職場にいない勤務時間(事業場外労働)を“みなし残業”として扱うかどうか」が主な争点となります。
そこで、会社として労働時間や待機時間を把握し、適正な残業代を支払っていることを明確にすることが対応の主軸となります。

みなし残業のポイント
⇒日毎の実働時間にかかわらず、あらかじめ定めておいた時間労働したものとみなす制度

  • “労働時間を把握するのが難しい状況”で適用される
  • 就業規則・雇用契約での周知が必須
  • 実労働時間がみなし残業の固定時間を超える場合、差額の支給必須

労働時間の把握が出来ていたことを立証する

「みなし残業の固定時間分の残業代が支払われていない」と主張された場合には、会社がきちんと労働時間の把握を行っていたことを立証すべきです。
下記判例のように、会社で保管している営業予定表・業務日報・電話記録等を活用することで、請求者の主張を認めない方向で交渉を進めることが出来ます。

会社が勝訴した判例
東京地裁平成27年9月18日判決(落合事件)
みなし残業に相当する賃金が払われていないと主張する外回り営業マンに対し「会社が営業予定表や日報で労働時間を把握できていた」とし、適正な残業代が支払われていると認められたケース
東京地裁平成17年12月9日(インターネットサファリ事件)
外出の多いソフトウェア設計技術者に対し「事務所設置のホワイトボードや携帯電話でのやりとりで労働時間の把握ができていた」とし、原告の訴えが退けられたケース

「待機時間中は労働から解放していたこと」を立証する

待機時間・休日出勤の可能性のある業務で「みなし残業代や休日手当を支払うべきだ」と主張されたときは、実態として原則的に労働から解放されていたことを立証すべきです。
下記判例のように、これまでの業務の実態やマニュアル内容を提示することで、支払い義務を否定することができます。

会社が勝訴した判例
東京地裁平成29年11月10日判決(都市再生機構事件)
「休日に携帯電話を持たされて緊急対応のため待機させられた」と主張して損害賠償請求を行った退職者について、3年間にわたって緊急対応の発生がなかったこと・会社からの待機指示があくまでも“対応の目安”に過ぎなかったことを理由に、訴えを退けられたケース

退職者から請求されたケース

退職者からの未払い賃金請求は、在職中に本来主張すべきことを“後だし”しているに過ぎません。会社として到底納得できず、請求対応に煩わされることなく無視したいという意思が働くのは、無理もないでしょう。
しかしここでも、在職の従業員や管理職と同様に、適切な対応と主張を行っていくべきです。

不本意であっても無視しない

会社として第一に心がけたいのは、迅速に交渉のテーブルに着き、在職時の資料提出と残業代の再計算に応じることです。
会社側が当初対応しなかった複数のケースにおいては、司法が「労働時間を推計で算出する」と判断し、退職者の主張を優先して賃金支払いを命じた例が多数見られます。

資料が散逸して対応が難しい場合でも、労務問題専門の弁護士等の力を得ながら、誠実に話し合いに応じましょう。

退職金を支給しないルールがあったことを立証する

未払いトラブルで多いのは「退職金の支給」に関する問題です。
結論を述べると、退職金を支払う旨の就業規則等が存在する場合において、退職金を一切支給しないことの合理性を証明するのは難しいと言わざるを得ません。過去の多くの判例で「退職金には賃金の後払い的性質がある」と認められており、退職者側に有利な判断が下されているからです(東京高裁平成15年12月11日判決等)。

その上でなお退職金不支給の合理性を証明するのであれば、就業規則・労働協約であらかじめ「解雇相当の事由があれば退職金の一部または全部を支給しない」という定めがあることが前提となります。

未払い賃金請求が発生した場合のリスク

未払い賃金トラブルの放置は禁物です。対応を怠ることのリスクは大きく、最終的には経営を揺るがす事態となりかねません。
請求を無視することで何が起こるのかを理解し、適切な対処と再発防止の取り組みに努めることが大切です。

付加金・遅延損害金の発生

本来支払われるべき日の翌日から遅延している期間、賃金には遅延損害金(在職中は年利6%/退職後など支払い期限が過ぎている場合は年利14.6%)が生じます。
訴訟に発展して敗訴した場合には、未払い賃金と同一額の「付加金」を上乗せして支払わなければなりません(労働基準法第114条)。

支払うべき金額が最大化したときは「未払い賃金の2倍に年利14.6%の損害金を上乗せした金額」の支出が企業を圧迫することになるのです。

他社員からの連鎖的請求

未払い賃金請求で会社側の主張が司法に認められなかった場合、その噂が社内へと広まり、連鎖反応により他社員からの請求が続発する可能性があります。こうなってしまうと、経営に甚大な被害が出かねません。早期の支払い実行と社内ルール是正により穏便に済ませられたはずのものが、経営の分裂と大損害に繋がってしまうこともあるのです。
そこで、水面下で在職する他の社員との合意を済ましてしまうというのも一つあります。場合によっては、訴訟等で徹底抗戦して引き延ばしてでも、連鎖を止めることが重要です。マクドナルドは、これをやるために訴訟をしていたといわれています。

是正勧告から刑事罰へ発展する可能性

労働基準監督署を通して未払い賃金の請求が行われるケースでは、行政による是正勧告から刑事罰へと発展する恐れがあります。
是正勧告だけでも、会社が被る損害は決して小さいとは言えません。行政指導に分類されるため実現性が強く要求され、是正実施のために多額のコストを強いられたり、業務を一時中断したりしなければならない可能性があるからです。

風評被害による人材&資金の不流入

最も対処が難しいのは、トラブルによる風評被害です。
各種リクルートサイトでは、在職者・退職者による会社評価の投稿システムの導入が進んでいます。トラブル当事者から投稿などに書き込まれれば、人材入手が難しくなることは避けがたいでしょう。
万一にも訴訟を提起されて敗訴した場合、出資者・取引先銀行・株主にも漏れ伝わって資金繰りに影響することも考えられます。

いずれもネットや判例を通じて長く経歴が残り、会社の意思で汚名をそそぐことは容易ではありません。

未払い賃金トラブルの再発防止策

未払い賃金トラブルが再び発生しないよう、企業としてどのように対策すればよいのでしょうか。専門家から個別にアドバイスしてもらうのが最良策ですが、ここでは一般的な再発防止策を3点紹介します。

トラブル防止策1:勤怠管理を徹底する

会社としてまず行うべきことは、労働時間管理義務にとらわれない徹底した勤怠管理です。
無許可残業は繰り返し周知するなどして禁止し、残業時間を改ざん不能な書面で管理する工夫を施しましょう。

トラブル防止策2:管理監督者制を適正に運用する

ケース別の対処法で紹介した通り、管理職については「管理監督者かそうでないか」を区別できるよう、業務範囲を明確化しておくことが大切です。
現状として、国内のほとんどの企業は中小規模であり、経営者と管理職のあいだで業務内容を区別できないことは稀ではありません。それでも曖昧にせず、雇入れ時または昇格時に「管理職としての地位と責任」を書面できちんと定めておくことが大切です。

トラブル防止策3:みなし労働時間制の理解を深めて適正に運用する

同じく先述の通り、みなし労働時間制への理解と適正運用も大切です。
みなし労働時間の規定はかならず就業規則内で明確化し、その上で「訪問先や業務スケジュールを定期報告させる」等の労働時間の把握に努めましょう。

使用者自らが積極的に勤怠管理を行おうとする姿勢を見せることで、不要に休憩を多くとる社員・勤務時間中に私的な作業を行う社員に対する“警告”にもつながります。

まとめ

未払い賃金(残業代や手当含む)の請求が行われた場合は、まず賃金支払いの基本的なルールをおさらいしましょう。その上で、どのケースであっても以下3点を押さえて対応を進めましょう。

賃金未払いの基本的な対応方針

まずは迅速に交渉のテーブルに着く
リスク拡大を防ぐため、速やかに「未払い賃金の再計算」と「資料提示」に応じる
これ以上の支払いに応じる合理性がない事を主張する
未払い賃金の根拠となる労働が、自発的かつ会社が許可していなかったものであると立証する
管理監督者・みなし残業について理解しておく
「使用者の義務を理解した上で業務実態に合わせて賃金支払いをしている」と主張することで、交渉が有利になる

個別のケースについては、労務問題に詳しいキャストグローバル滋賀オフィスの弁護士の助言と支援を頼っていただけると幸いです。不用意に対応することで問題が拡大する懸念があることを考慮しても、初動できちんとプロの意見を得ることが大切だと言えます。

そもそも、労働量不足が叫ばれる昨今においては、労働環境を適正に整備することが従業員の定着と採用にとってとてもとても大切です。

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